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漢文速成 三十三日間講座 (四)

前回までの三回で「語の研究」を終えましたから、ここからは「文の研究」に入ります。文の研究を分かちて二種と為しまして、一つを「単文の研究」、もう一つを「連文の研究」と云います。まず今回扱いますのは単文の研究であります。「連文の研究」は第二十七回目以降となります。

新楽先生曰く、

讀者は以上三日間を以って学び得たる単語と熟語とを組み合わすれば、左の六類十六種の単文を作ることを得べし、而して漢文に於ける根本的の構造は、此の六類十六種に出でざるものなれば、之を暗記して如何なる漢文を読むに当たりても自由自在に之を応用し得ざるべからず



「文の研究」

「単文の構造」(其の一)
今日の講座では六類のうちの二つを勉強します。
(赤字は松下文法との関連を補足したもの。)


単文とは・・・一つの主語と一つ(或はそれ以上)の説語とより成るものです。

第一類 主語+説語

【ア】主語が名詞で、説語が動詞のもの


「蛇が蟠(わだかま)る」と訓みます。(註)これ主体関係の連詞であります。日本語であろうと漢文であろうと、主語が先に来て其の後に叙述語がくることは同じです。「彼が本を読む」のようなものは、主語の「彼が」のあとに「本を」が来ておるから直ちに叙述語が来るとは言えないだろう、と思う方もおられるかもしれませんが、松下文法に則って言えば、「彼が」が主語で、「本を読む」全体が叙述語となるのです。「書を読む」を一つの文の成分と考え難ければ、「読書す」とでも置き換えればよいのです。また松下文法に於いて主語となりうるものは、名詞、副詞。叙述語となるものは動詞と叙述態名詞です。

【イ】主語が名詞で、説語が形容詞のもの



「蛇が長し」と訓みます。(註)これも主体関係の連詞です。


第二類 説語+主語

【ア】説語が「有」のもの
【イ】説語が「無」のもの


(註)決して主語が叙述語の下にあるのではありません。「蛇」は主語ではなく、客語です。ただ意思的他動ではなく、自然的他動というまでです。「有」も「無」も形式動詞でありますが、本動詞でもこの用法はあります。たとえば、「中天明月、令嚴夜寂寥」 (杜甫後出塞)の「懸」などがそうです。「明月を懸ける」のではなく、「明月を懸く」のです。虚主的動作です。日本語でも「庭に草を生ず」の「生ず」などがそれです。松本洪先生の『漢文を読む人のために』(百五十一項)に、「楚軍敗(楚軍敗る)」「敗楚軍(楚軍を敗る)」、「天寿終(天寿終る)」「終天寿(天寿を終る)」、「草生(草生ず)」「生草(草を生ず)」、などの例を挙げてそれぞれ前者が自動詞、後者が他動詞であり、この自他を誤ると意味が反対になるとおっしゃっておられるのでありますが、松下文法にて申せば、これらはいずれも同義自他動でありまして、「草を生ず」は「草が生ず」に同意義であります。ただ意思的か、自然的かの相違があるというのみです。

使趙不將括即已、若必將之、趙軍者必括也 (史記廉頗藺相如列傳)

少々論点がずれますが、上記の「破」を「やぶる」と訓むのならばちょっとそれは違うのです。「破」はもと自動詞でありますが、それが他動性を帯びて客語を取るようになったわけです。然らば、如何なる意味の他動性かと言えば、使動的意義を帯びたところの他動性であります。すなわち「趙軍をやぶる」ではなく、「趙軍を(して)破らしむ(使趙軍破)」の意であります。(楊伯峻 『中国文語文法』九十四項)

乃激張儀、之于秦 (史記蘇秦列傳)

この「怒」「入」も同様であります。「張儀を怒る」「これを入れる」ではなく、「張儀を怒らしむ」「これを入らしむ」です。「張儀」も「之」も原動の客語ではなく、使動性に対する客語です。





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No title

漢字のブログ「ボクちゃん日記」の者です。はじめまして。
この縦書きの表はわかりやすいですねえ。
また、お邪魔いたします。

Re: No title

コメントありがとうございます。
是非また来てください!
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